インテル® Fortran コンパイラーは、ソースプログラムに含まれる構文エラーと言語規則違反を識別します。
ソースファイルの処理中に報告された診断結果を示すメッセージです。診断メッセージは、通常、エラーの原因を判断し、修正するために十分な情報を提供します。通常、メッセージの形式は次のとおりです。
filename(linenum:) severity: message
filename |
現在処理しているソースファイルの名前です。 |
linenum |
問題が検出されたソース行番号です。 |
severity |
診断メッセージの重要度 (警告、エラー、または致命的なエラー) を示します。 |
message |
問題の説明です。 |
次の例は、この形式とメッセージテキストが示されたエラーメッセージです。
echar.for(7): Severe: Unclosed DO loop or IF block (echar.for(7): 致命的なエラー: DO ループまたは IF ブロックが閉じられていません。) DO I=1,5 --------^
ポインター (---^) は、プログラムのソース行でエラーが発見された正確な場所を示します。この場合は、END DO 文が省略されています。
コマンドラインで実行される受け渡しを表示するには、-watch (Linux* および Mac OS* X) または /watch (Windows*) を指定します。
明示的インターフェイスが提供されていないルーチン間で、コンパイル時のプロシージャー・インターフェイス・チェックを実行することができます。そのためには、コンパイルされる各ルーチンでインターフェイスを持つモジュールを生成 (-gen-interfaces オプション (Linux および Mac OS X) または /gen-interfaces オプションを (Windows) 使用) して、暗黙的インターフェイスをチェック (-warn interfaces オプション (Linux および Mac OS X) または /warn:interfaces オプション (Windows) を使用) します。
いくつかのコンパイラー・オプションを使用して、コンパイラーにより発行される診断メッセージを制御することができます。例えば、-WB コンパイラー・オプション (Linux および Mac OS X) または /WB コンパイラー・オプション (Windows) は、コンパイル時の上下限チェック違反を警告として扱います。コンパイラー診断メッセージ (警告メッセージなど) を制御するには、-warn (Linux および Mac OS X) または /warn (Windows) を使用します。-warn [keyword] オプション (Linux および Mac OS X) または /warn:keyword オプション (Windows) は、コンパイラーにより発行される警告を制御し、幅広い値をサポートします。その中のいくつかを次に紹介します。
[no]alignments -- 自然にアライメントされないデータに対する警告を発行するかどうかを指定します。
[no]declarations -- 未宣言のシンボルに対する警告を発行するかどうかを指定します。
[no]errors -- 警告をエラーとして扱うかどうかを指定します。
[no]general -- 警告メッセージおよび情報メッセージをコンパイラーで発行するかどうかを指定します。
[no]interfaces -- 呼び出した全ルーチンおよび起動した全関数のインターフェイスについての警告をコンパイラーで発行するかどうかを指定します。
[no]stderrors -- Fortran 標準に違反する警告をエラーとして扱うかどうかを指定します。
[no]truncated_source -- ソースが固定形式ソースファイルの最大のカラム幅を超えた場合、警告を発行するかどうかを指定します。
詳細は、-warn コンパイラー・オプションを参照してください。
各種 -diag (Linux および Mac OS X) コンパイラー・オプションまたは /Qdiag (Windows) コンパイラー・オプションを使用して、診断情報の表示を制御することもできます。このコンパイラー・オプションは、複数の引数や値を受け付けるため、表示される診断メッセージおよびレポートを幅広く制御することができます。
最も一般的なものは以下のとおりです。
Linux および Mac OS X |
Windows |
説明 |
---|---|---|
-diag-enable list |
/Qdiag-enable:list |
診断メッセージまたはメッセージのグループを有効にします。 |
-diag-disable list |
/Qdiag-disable:list |
診断メッセージまたはメッセージのグループを無効にします。 |
-diag-warning list |
/Qdiag-warning:list |
診断を警告に変更するようコンパイラーに指示します。 |
-diag-erro list |
/Qdiag-error:list |
診断をエラーに変更するようコンパイラーに指示します。 |
-diag-remark list |
/Qdiag-remark:list |
診断をリマーク (コメント) に変更するようコンパイラーに指示します。 |
list 項目は、特定の診断 ID、warn、remark、error のいずれかのキーワード、または特定のグループを指定するキーワード (par、vec、driver、cpu-dispatch、sv) です。詳細は、-diag、/Qdiag を参照してください。
また、次の関連オプションを使用できます。
リンカーにより、オブジェクト・モジュールのリンク時にエラーが検出されると、その原因と重要度に関するメッセージが表示されます。何らかのエラーが発生した場合、リンカーは実行ファイルを生成しません。リンカーメッセージは説明的な内容であるため、通常、追加情報がなくてもエラーを特定することができます。
コマンドライン上でリンカーに渡されるライブラリーを参照するには、-watch または /watch を指定します。
これらのメッセージは、コンパイルされる言語で有効ではあるものの、推奨されない使用方法を報告します。デフォルトでは、コンパイラーはコメントを表示します。-warn nousage オプション (Linux および Mac OS X) または /warn:nousage オプション (Windows) を使用して、コメントメッセージを抑止できます。
コメントメッセージが返されても、変換処理やリンク処理が終了することはなく、出力ファイルへの影響もありません。コメントメッセージとしては、例えば次のものがあります。
Null CASE construct (CASE 構文がヌルです) The use of a non-integer DO loop variable or expression (整数以外の DO ループ変数または式を使用しています) Terminating a DO loop with a statement other than CONTINUE or ENDDO (DO ループの終わりが CONTINUE または ENDDO 以外の文になっています)
これらのメッセージは、コンパイルされる言語で有効ではあるものの、何らかの問題がある使用方法を報告します。デフォルトでは、コンパイラーは警告を表示します。ただし、-warn オプションまたは /warn オプションを使用して、警告メッセージを抑止できます。警告メッセージが表示されても、変換もリンクも停止されません。また、警告メッセージが表示されても出力ファイルは影響を受けません。警告メッセージの代表的なものは、次のとおりです。
constant truncated - precision too great (定数が切り捨てられています。精度が高すぎます) non-blank characters beyond column 72 ignored (カラム 72 以降のブランクではない文字は無視されます) Hollerith size exceeds that required by the context (Hollerith のサイズが、コンテキストで必要とされるサイズを超えています)
これらのメッセージでは、Fortran の構文上またはセマンティクス上の使用の誤りを報告します。
エラーが発生すると、エラーを含むモジュールのオブジェクト・コードは作成されず、リンクも行われませんが、ほかのエラーがないかどうかスキャンする解析は続行されます。次に、エラーメッセージの典型的な例をいくつか示します。
line exceeds 132 characters (行内の文字が 132 字を超えています。) unbalanced parenthesis (括弧が一致しません。) incomplete string (文字列が不完全です。)
致命的なメッセージは環境の問題を示します。致命的なエラー状態が発生すると、変換処理、アセンブリー処理、およびリンク処理は停止します。致命的なエラーによってコンパイルが終了した場合は、コンパイラーは標準のエラー出力に終了メッセージを表示します。致命的なエラーメッセージの代表的なものとしては、次のものがあります。
Disk is full, no space to write object file (ディスクが一杯で、オブジェクト・ファイルを書き込むためのスペースがありません。) Incorrect number of intrinsic arguments (組み込み引数の数が正しくありません。) Too many segments, object format cannot support this many segments (セグメントが多すぎます。オブジェクト形式ではこのような多くのセグメントはサポートできません。)
コマンドラインを使用している場合は、メッセージが標準のエラー出力ファイルに書き込まれます。
コマンドラインを使用する場合:
ifortvars.sh ファイル (Linux および Mac OS X) または IFORTVARS.BAT ファイル (Windows) を実行して、適切な環境変数が設定されていることを確認してください。例えば、この BAT ファイルは、インクルードおよびライブラリーのディレクトリー・パスの環境変数を設定します。Windows では、インテル® Visual Fortran のプログラムフォルダーから Fortran コマンド・プロンプト・ウィンドウを使用する場合、このような環境変数は事前に設定済みです。コンパイル中に ifort コマンドにより使用される環境変数のリストについては、「コンパイル時の環境変数の設定」を参照してください。
リンクするライブラリーは、コンパイラー・オプションを使用して指定してください。
コマンドラインでファイル名としてライブラリーを指定することができます (必要に応じてパスを追加します)。