OpenMP* の使用

アプリケーションで OpenMP を使用するには、いくつかのステップがあります。OpenMP を使用するには、次の操作が必要です。


  1. OpenMP 宣言子をアプリケーションのソースコードに追加します。

  2. アプリケーションを -openmp (Linux* および Mac OS* X) オプションまたは /Qopenmp (Windows*) オプションでコンパイルします。

  3. 大規模なローカル配列や一時配列を持つアプリケーションの場合、実行時に利用可能なスタック領域を増やす必要があります。また、KMP_STACKSIZE 環境変数や対応するライブラリー・ルーチンを設定して、個々のスレッドに割り当てられるスタックを増やします。

マルチスレッド・コードの実行用にその他の環境変数を設定できます。

OpenMP サポートをアプリケーションに追加する

次のような文をコードに追加して、OpenMP API ルーチン宣言をアプリケーションに追加します。

use omp_lib

OpenMP 宣言子構文

OpenMP 宣言子は、特定の形式と構文を使用します。「OpenMP* のインテル拡張ルーチン」では、インテル® コンパイラーに追加された OpenMP の拡張機能について説明されています。

次の構文は、ソースで宣言子を使用する例を示します。

<prefix> <directive> [<clause>[[,]<clause>...]]

説明:

-openmp (Linux および Mac OS X) オプションまたは /Qopenmp (Windows) オプションを省略した場合は、宣言子はコメントとして解釈されます。

並列領域を定義している OpenMP 構造の構文形式は、次のいずれかです。

!$OMP <directive>

  <structured block of code>

!$OMP END <directive>

または

!$OMP <directive>

  <structured block of code>

または

!$OMP <directive>

次の例は、OpenMP 宣言子を使用してループを並列化する 1 つの方法を説明します。

subroutine simple_omp(a, N)

  use omp_lib

  integer :: N, a(N)

!$OMP PARALLEL DO

  do i = 1, N

    a(i) = i*2

  end do

end subroutine simple_omp

特定の状況で宣言子を使用するその他の例は、「OpenMP* の例」を参照してください。

アプリケーションのコンパイル

-openmp オプション (Linux および Mac OS X) または /Qopenmp オプション (Windows) により、パラレライザーはソースの OpenMP 宣言子に基づいてマルチスレッド・コードを生成します。このコードはシングル・プロセッサー・システム、マルチ・プロセッサー・システム、マルチコア・プロセッサー・システムで並列実行が可能です。

Note icon

IA-64 アーキテクチャー: このオプションを指定することは -opt-mem-bandwith1 (Linux) または /Qopt-mem-bandwidth1 (Windows) を意味します。

openmp オプションは、-O0 (Linux および Mac OS X) と /Od (Windows)、および -O1-O2-O3 (Linux および Mac OS X) または /O1/O2/O3 (Windows) の任意の最適化レベルのどちらとも併用できます。

OpenMP オプションと -O0 (Linux および Mac OS X) または /Od (Windows) を指定すると、OpenMP アプリケーションのデバッグに役立ちます。

次のようなコマンドを使用してアプリケーションをコンパイルします。

オペレーティング・システム

説明

Linux および Mac OS X

ifort -openmp source_file

Windows

ifort /Qopenmp source_file

次のようなコマンドを使用して、上記の例をコンパイルすると仮定します。-c (Linux および Mac OS X) または /c (Windows) は、実行ファイルを生成しないでコードをコンパイルするようにコンパイラーに指示します。

オペレーティング・システム

Linux および Mac OS X

ifort -openmp -c parallel.f90

Windows

ifort /Qopenmp /c parallel.f90

コンパイラーは、次のようなメッセージを表示します。

parallel.f90(20) : (col. 6) remark: OpenMP 定義ループが並列化されました。

OpenMP 環境の設定

マルチスレッド・コードを起動する前に、OpenMP 環境変数 OMP_NUM_THREADS で使用するスレッドの数を設定できます。「OpenMP* の環境変数」を参照してください。